ヨシムラの日常日記

自分らしく、ゆっくり歩いて行こう

妊娠から死産まで

あとがき

妊娠から死産まで完結しました。 まだほんの1ヶ月前の出来事です。記憶が新しいうちに自分の気持ちの整理と振り返りのために、この話を書こうと思いました。 勢いで書いているので誤字脱字と変な文章多いと思いますが、それは後々また読み返して修正します…

妊娠から死産まで最終話「おかえり」

病院を出た後は、ずっと我慢していた寿司を夫と食べに行った。 大好きだったネギトロやエビを味わい、こんな形で食べる予定ではなかったのに、なんてぼやいた。でも久しぶりに食べたチェーン店の寿司は、本当に美味しかった。 家に帰った後は、すぐにシャワ…

妊娠から死産まで23「お願いします」

大和と過ごした最後の夜は、2時間ぐらいしか寝なかった。 なるべく腐敗させないように室温は20度近くまで下げて、ガンガンに部屋を冷やしたこともあったかもしれない。寒い中眠れず、起きては抱っこしたり、顔をのぞいたり、触ったりを繰り返した。 外は大…

妊娠から死産まで22「どんな姿でも」

「◯◯は、本当に良く頑張ったよ。お疲れ様」 夫は、私にそう伝えて仕事に行った。夫だって、朝から付き添って疲れているだろうに。死んだ我が子の姿を見て、どんな気持ちで仕事に向かうのか・・・と心配になった。コロナ療養もあり、これ以上は欠勤ができない…

妊娠から死産まで21「会いたかった赤ちゃん」

自分でも呆気に取られていると、すぐに先生達が集まってきた。A先生がガウンを着て、医師と助産師合わせて5〜6人がエコーや諸々物品を準備していた。 もう一度ナプキンの中身を確認したFさんが、慌ててナプキンを閉じた。 「先生、産まれてる!」 「了解」…

妊娠から死産まで20「中々産まれない」

陣痛促進剤を10時半に2回目挿入、うとうとしているとあっという間に12時になった。 何となく、お腹が痛い。でも我慢ができるその痛みが1〜2分刻みになってきた。下腹部も張っている。 Eさんに陣痛感覚が短いことを伝えると、B先生を呼んで内診をする…

妊娠から死産まで19「着々と」

初日の夜は抗生剤を内服し、深夜2時頃まで起きていた。 ラミナリアを挿入してから、下腹部が張ってきたのを感じる。幸いにも痛みはそこまで無く、鎮痛剤も希望しなかった。 同じく人工妊娠中絶という形でお産になった人達のツイッターを読み、自分も同じ立…

妊娠から死産まで18「我が子が教えてくれたこと」

処置をして身支度が全て終わり、担当の助産師さんが2人来てくれた。 ラミナリア挿入の時に声をかけてくれた人達だ。 助産師さんから入院中の流れについて再度説明を受けた。明日は朝7時から、陣痛促進剤の膣坐剤を入れていく。3時間おきに、1日4回まで…

妊娠から死産まで17「心拍停止・入院初日」

「心臓は、止まっていますね」 経腹エコーを見ながら、先生がゆっくり話してくれた。 「そうですか・・・」 B先生の言葉に、私は思わずため息をついた。ショックではなく、安堵のため息だった。 また目の前が涙で滲んだ。 「最後の診察から2週間以上空いて…

妊娠から死産まで16「まさかの入院延期」

7月20日 妊娠15週3日 入院準備OK、12時にタクシーを呼べば、入院時間に間に合うはずだ。 私は朝の8時に起床し、荷物の最終チェックをしていた。朝からバタバタしていると、ベッドで寝ていた夫が「頭痛い」と呻いていた。 それどころじゃない私は、…

妊娠から死産まで15「見送る準備」

前から子供の名前については、いくつか候補があった。 夫がインストラクターのため、子供と接することが多い。なるべく生徒と被らない名前がいいと希望を出していた。 キラキラネームが流行しているが、昭和な思考の私達は、当て字ではなく誰でも読める名前…

妊娠から死産まで14「中絶の決意・同意書」

7月14日(木) 妊娠14週4日 入院前、最後の外来受診にきた。 夫は後から合流することになり、先に私は腹部エコーを受ける。 「心臓は、動いていますね」 B先生が私の顔を見ながら説明してくれた。 その後、すぐに遅れて夫も診察室に入って一緒にエコーを…

妊娠から死産まで13「死産した妹の話」

翌日夫と2人で実家に帰った。 母親にお腹の子のことを改めて伝える。 「4万人に1人かあ・・・。原因がわからないなら、仕方ないね」 「ね。こればっかりはさ、もうどうしようもないから、入院することにしたよ」 母を前にしたら自分がまた泣くかと思ったが…

妊娠から死産まで12「LBWC」

LBWC(Lim body wall complex) リムボディウォールコンプレックス この病気は、胸部、腹部、頭部、顔面、脊椎、手足などいくつかの体の欠損を伴う症候群。 頻度は7000人〜42000人に1人の確率で発症する、稀な病気。 日本語略が難しい病気で、インタ…

妊娠から死産まで11「多発奇形児」

7月8日(金) 妊娠13週5日 4回目の受診日は、夫と一緒に来た。 七夕や神社で祈りを捧げたのは、最後の悪あがきだったかもしれない。それでも、0.001%の可能性でも、何事もなく産まれるよう、神様にすがりたかった。 どこかで期待を抱きつつ、診察台…

妊娠から死産まで10「話し合い」

カウンセリングが終わり、少しだけ気持ちは落ち着いた。 家に帰り、しばらくベッドに横になってスマホをいじった。 クアトロ検査や、NIPT検査をして「陽性」が出た人の記事を見た。しかしこの二つは確定診断ではないため、結局羊水検査も実施することで最終…

妊娠から死産まで9「二人の子供だから」

私が、よく利用者さんや家族に使っていた言葉にハッとさせられた。 『家族でよく話し合ってください』 延命治療を希望するか、治療をどこまでしたいのか、誰がその人を介護するのか、最期は病院なのか、施設なのか、自宅なのか、どこで過ごしたいのか、何を…

妊娠から死産まで8「出生前遺伝カウンセリング外来」

7月5日 妊娠14週2日 その日は夫と病院に行った。 仕事があるため、30分だけ同席するということになり、最初の前半だけ居てもらうことに。正直、もう夫に期待はしていなかった。どうせ話はわからないだろうから、自分が最後まで聞けばいいと思ったから…

妊娠から死産まで7「夫とすれ違い」

人間には「死」の受容への5段階があると言われている。 1.否認と孤立 2.怒り 3.取引 4.抑うつ 5.受容 看護師として、多くの終末期の患者達に対応してきた私。「死」は一般の人よりも身近な職業だと思っており、心のどこかで他人の「死」に慣れて…

妊娠から死産まで6「ショック」

カーテン越しで、医師や助産師の人数が増えたのを察する。 「どうしたの?」 「これって・・・」 ひそひそとA先生がB先生に相談している声が聞こえた。 私にも緊張が走る。てっきり、A先生が研修医を呼んで、指導のために見せているものかと思った。でも、絶…

妊娠から死産まで5「血糖検査だけのつもりが」

6月24日 妊娠11週5日 私は肥満よりだ。BMIがギリギリで肥満になってしまい、念の為、この日に血糖検査をすることになってしまった。祖母がや叔母が糖尿病もち、両親も高脂血症があったりと妊娠性糖尿病のリスクあり、1日がかりで検査をすることになっ…

妊娠から死産まで4「心拍確認」

6月10日、2回目の受診。 妊娠9週5日にて、心拍を無事に確認。1ヶ月空いたため、ちょっと緊張していた私。 この日は夫も同席していた。 「トクトクトク」という音を想像していたが、「バクバクバク!」と思っていた以上に大きい音とあまりにも早い回数…

妊娠から死産まで3「旧名で受診」

訪問看護師をしていた私は、明後日休みを取って病院を受診した。 先月はメンタルの浮き沈みが激しく、疲労が強くて退職したいと上司に泣いて電話をしていたものだ。株式会社の訪問看護ステーションであり、東京23区に支店を持つ職場。しかし看護師不足が著…

妊娠から死産まで2 「デキ婚からの始まり」

妊娠が発覚したのは、5月10日(火)の夜。 なんとなく尿の匂いがいつもと違うと感じ、仕事終わりに妊娠検査薬キットを買って家に帰ってきた。 「まさかね。期待して陰性な可能性もあるよね」 そう思って尿をかけたら、1分くらいでうっすらと線が入った。…

妊娠から死産まで1「診断日」

(やっぱりダメなんだ・・・) そう自分の中で確信したのは、お腹の超音波画像を産科の医師が3人確認している時だった。 超音波をあてているのは、産科の部長クラスのベテラン医師C先生。そして私の担当医だった若い男性医師A先生と、その上司であろう落ち…