妊娠から死産まで5「血糖検査だけのつもりが」
6月24日
妊娠11週5日
私は肥満よりだ。BMIがギリギリで肥満になってしまい、念の為、この日に血糖検査をすることになってしまった。祖母がや叔母が糖尿病もち、両親も高脂血症があったりと妊娠性糖尿病のリスクあり、1日がかりで検査をすることになった。
朝食抜きで朝9時から、スタート。採血をして、甘いサイダーのようなブドウ糖ジュースを飲まされる。飲んでから1時間後、2時間後にまた採血。
計3回も採血をし、初めて患者の痛い気持ちがわかってきた。
失敗されて何回も腕に針を刺した歴代の患者の顔が蘇り、改めて反省する。
午前で検査は終わり、昼ごはんを食べ終わったら次はまた産科外来でエコー予定。病院の食堂で味噌ラーメンを食べる。食べづわりだが、食べる量は明らかに減っていたためか、ラーメン1杯は苦しかった。以前はラーメンと餃子セットをペロリと食べることができたが、胃が小さくなっているらしい。
体重も、1kg減っていた。
昼休憩から戻ると、エコーの前に助産師さんから入院や出産についてのファイルを受け取り、色々と面談を受けた。実家は千葉にあるのだが、私は里帰り出産はせずこの病院でのお産を希望する。98歳の祖父がいること、また車がないため、実家から赤子を連れて戻ってくるのも負担に感じたこともあり、こっちで頑張ることにした。
出産後は実家の母親を1週間呼んで家事を手伝ってもらう、夫の母親にも協力を依頼しようかと思っていた。もちろん、夫にも家事と育児を頑張ってもらうつもりだった。
妊娠〜産後の生活についての分厚いファイルをもらい、母親学級の予定や、体調についてもろもろ相談できた。
とりあえず血糖が心配なことを伝え、仕事が本当に辛い愚痴も聞いてくれた。助産師さんは優しくて「心配しなくて大丈夫。何かあれば私から医師にカード書いてもらうよう伝えますね」と言ってくださった。
ちょっとだけ不安が落ち着き、面談が終了。また待合室で待っていると、ソファに妊婦が集まってきた。中にはお子さんや旦那と一緒に来ている人もいて、ほのぼのとした雰囲気だった。
そして、やっと診察が回ってきた。
3回目になれば、診察も慣れたもんだ。
いつものように処置台に座って、足を広げる。エコーを見つめながら、自分の子が以前よりも成長している姿を見つめた。
(大きくなってるーー!)
少しずつ人間の形になっている胎児に、感動する。心拍も聞こえて、安心した。
しかし、やけにこの日はエコーの時間が長かった。
A先生がやたらと赤ちゃんのサイズを測定し、色んな角度を変えている。
週数が増えると、こんなに丁寧に見てくれるのか、と呑気に思った。
しかし、A先生が私ではなく、助産師に声をかけたことで空気が変わった。
「ねえ、C先生いる?ちょっと呼んでほしんだけど」
助産師も、少し慌てたようで
「ちょっと待ってくださいね。え〜と、今外来中かな」
「じゃあB先生は?」
「あ、います」
「ごめん、呼んでもらっていい?」
なんだか慌ただしくなった診察室に、嫌な予感がした。